社長の独言

社長独言(リスクとコスト削減)

新しい年を迎えた。
社員一同健康で無事新年を迎えられたことを感謝し
今年も全員健康で過ごしてくれることを願う。

元旦、久しぶりの家族全員の団らんのあと、一人にな
って今年の機械設計業界はどうなるのだろうと考えて
みた。

我々の設計という業務はメーカーの製品開発が少なく
なれば仕事量は減少する。
メーカーが開発の手を緩めることはライバルに後れを
取るということと同じ意味である。
今まで我々が関わる範囲ではそのメーカーの方針が大
きく変わる事はあまりなかった。
しかし、昨年はその当然と思っていた私の考えが下記
の出来事で一変した。
我々の関係する業界のあるトップメーカーが他の競合
先と合併すると発表した。その合併の効果として一つ
は開発費を抑えられると表明したのだ。

成長が見込めない現在の状況は一般的にその他の業
種を含めても景気の好不況のサイクルの予想がしにく
く好況がやってきてもその期間は短い。それに対する警
戒感がさらに企業を萎縮させ注意深くさせている。
マニュアル化できる工場作業のほとんどは海外移転し国
内にわずかに残った作業は賃金を抑えられた期限付き
の作業員が実行するか疲れもせず一日中休まず文句も
言わないロボットが実行している。
その結果日本企業が「コスト削減」と「労務リスク回避」
を得、自分の力で普通に働く人は急激に職を失った。
機械設計もその例外ではなくなりつつある。

企業のコスト削減は存続のために止むことを知らない。
従来より効果がすばやく見込めるところからすでに手を
打ってきたがコストダウンが進むにつれ相対的にも開発
コストが大きくなってきたのだろう。
そしてとうとう開発部門も聖域ではなくなり開発設計の質
を問われることになり「開発案件の選別とそのコストと効
果の精査」がされるようになったのではないかと想像して
いる。

このような単純な考えでも大きくは外れていないだろう。
とうとう開発設計までコスト削減が及んできたのである。
当社は開発設計が主であるから影響は大きい。

また、このような状況の中で機械設計業界では「作業量
の減少」が進み同時に「人材不足」が発生していると私は
見ている。
一見矛盾しているようだがメーカーの「開発案件の選別
とそのコストの精査」という命題と機械設計作業はマニュ
アル化できにくいということを考えたら何の矛盾もない。

コスト削減を進めた結果の”人材不足”とは「実力のある
人材の不足」である。
より以上の作業の高精度化と専門化が進んでいるのである。

今後我々が客先の要求に応えるにはどうするべきかは
当面は明確である。
コスト削減に対するには「設計力の向上」、労務リスクに
は「広い意味での人間的な力の向上」である。
すなわち「設計力」と「自立力(人間力)」のさらなる向上
しかないのである。
今のままでいいという考えや将来を想像しない行動しな
い姿勢は「リスク」であり遠からず「コスト削減」の対象に
されるだろう。


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